7つのぎょしょく

従来、「ぎょしょく」と言えば、「魚食」が想起され、魚食普及を意味します。しかし、あえて、ひらがなで、「ぎょしょく」と書き表すのは非常に重大な意味があります。魚の生産から消費、さらに生活文化までを含む幅広い内容を含めるために、「ぎょしょく」なのです。

「ぎょしょく教育」には、7つの「ぎょしょく」の概念が込められています。それは、「魚触」→「魚色」→「魚職」→「魚殖」→「魚飾」→「魚植」という一連の学習プロセスを経て、「魚食」へ到達できるように配慮したものが「ぎょしょく教育」です。

  • 魚触魚にさわる
  • 魚色魚の特色さわる
  • 魚職とる漁業
  • 魚殖育てる漁業
  • 魚飾魚の伝統文化
  • 魚植魚をめぐる環境
  • 魚食魚の味

contents魚触

触覚や嗅覚、視覚など感覚を駆使

子供たちに、魚に触れる機会を設け、少しでも魚に対する興味や関心、親近感が得られるような環境をつくっていくのが「魚触」です。具体的には、魚の調理実習をはじめ、地引網や定置網などの漁業体験といった体験学習ができます。『みんなで漁村体験!子供たちの漁村体験のすすめ』(水産庁発行)では、漁村体験を3つに区分していますが、「魚触」はこのなかの食・伝統文化体験と漁業体験に該当します。魚に触れながら、それを調理することで、魚嫌いが是正された事例もあります。

魚触 解説動画
魚触

contents魚色

魚体のつくりや機能を知る

「魚色」は、「魚嘱」の意味も含み、魚の色や嘱、つまり、魚の種類や栄養などの魚本来の情報に関する学習です。たとえば、写真にみられるように、様々な種類の魚に関する学習があります。魚には、青魚・赤身魚・白身魚など魚の色に独自の表現方法があり、また、様々な地形や海洋環境のもとで生息している多種の魚が漁獲されてます。近年、健康食ブームもあって、魚には、有益な栄養素が大量に含まれていることがよく紹介されています。こうした魚の種類や呼称、栄養など魚自体の理解を深める「魚色(嘱)」は、小学校教育課程の家庭科や理科、国語科が関連しています。

魚色 解説動画
魚色

contents魚職

魚を取り扱う職業の現場を学習

「魚職」は魚の生産(漁獲)から加工、流通、それに販売といった職業の現場に関する学習です。写真は、カツオの水揚げ風景を漁協職員の説明を受けながら見学しているところです。水揚げされた魚は漁協職員によって、素早く重さ別、状態別に仕分けられ、セリにかけられます。「魚職」は、どのように、魚が漁獲され、加工されて、流通して、私たちの食卓まで届くかを理解する内容です。つまり、「魚職」は、魚を取り扱う職業の現場を学習するもので、魚の生産現場により2つに区分でき、「魚職」を漁船漁業などの「とる漁業」、「魚殖」を後述する養殖業の「そだてる漁業」が想定できます。

魚職(前半) 解説動画
魚職(後半) 解説動画
魚職

contents魚殖

養殖業の生産や流通を知る

「魚殖」は、前述した「漁職」から派生したもので、「そだてる漁業」、つまり、養殖業の生産や流通に関する学習です。漁業生産のなかで養殖業が多くを占める愛媛県や広島県、長崎県などでこれが展開できます。

小学校の教育課程との関連からすると、「魚殖」は5年生の社会科の内容に相当します。昨今、全国的に漁業生産における養殖業の占める位置は高くなってきていることから、養殖業の社会的・経済的な重要度が増しています。海面養殖業が盛んな愛媛県の場合、タイやハマチ、カンパチなどの漁業生産額が県漁業全体の約6割を占めており、「魚殖」の学習は不可欠です。前述した5年生の社会科の教科書においては、8単元のうち後半部分の⑤鹿児島湾の養殖業、⑥マダイの栽培漁業、⑦カンパチやブリの流通、⑧まとめが充当されています。

魚殖(前半) 解説動画
魚殖(後半) 解説動画
魚殖

contents魚飾

古い時代の暮らしの様子を理解

「魚飾」は、「飾り海老」や「祝い鯛」があるように、魚文化に関する学習です。魚食民族とされる日本人は魚にまつわる伝統的な習俗や習慣を維持してきましたが、それらを学ぶのが「魚飾」といえます。たとえば、郷土料理、年中行事や人生儀式の伝統的な魚料理、地域の魚にまつわる食習慣、魚に関する民謡などの芸能、漁に関する漁村の祭祀や社寺などがあげられます。また、そうした魚文化の理解にとどまらず、その継承も、「魚飾」は念頭に置いています。

魚飾 解説動画
魚飾

contents魚植

魚の環境と生態を学ぶ

「魚植」は魚の環境と生態を学ぶ学習です。「山が海を育てる」という山と海の連鎖系を念頭に置いて、山間部と臨海部を一体とした総合的な「ぎょしょく」を検討します。たとえば、「ぎょしょく教育」を環境教育の一環として位置付け、これまで実践したことのある植林活動を本格化します。

また、全国各地で従来、推進されている植林活動のほかに、愛南町の海洋環境に立脚した実践活動を行っています。 たとえば、愛南町の海の生態系で重要な一端を担うサンゴ保全活動として、サンゴを捕食するオニヒトデやシロレイシガイダマシ等の駆除を 定期的に行っています。

その他、磯焼けの原因として問題視されているガンガゼウニを捕獲、町の特産物の端材を与えて畜養し、新たな特産品として売り出す等、藻場造成にも注力しています。

魚植 解説動画
魚植

contents魚食

魚本来の味を知る学習

「魚食」は、従来から広く取り組まれている魚食普及も含み、魚本来の味を知る学習です。これは地元で水揚げされた魚を実際に調理して試食するものです。

現在では、水産加工品や水産冷凍食品が増加し、コールドチェーンの拡充により水産物流通の高度化が進みました。魚の鮮度保持に格段の改善がみられるものの、鮮度による魚の味の違いは存在します。魚嫌いの理由が鮮度落ちによる魚の生臭さの場合もあり、それが魚の摂取に大きな影響を生む可能性も強いと言えます。したがって、鮮度の良い魚を食する体験は極めて重要です。

魚食 解説動画
魚食

ぎょしょく教育 発祥の地 愛南町のぎょしょく教育

「ぎょしょく教育」で、明日の愛南を拓く!「ぎょしょく教育」で、地域も、水産業も、元気いっぱい!!これからの愛南は、「ぎょしょく教育」から!!!をスローガンに教育プランを策定しています。